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カタギリが家を訪ねてきたのは、電話があってから一時間後のことで、
ニールは腹にライルを乗せたまま、カタギリを迎えた。
「相変わらず仲がいいね」
「まぁ、それだけが取り柄っていうか、俺たち兄弟の美徳だからな」
そういうニールに苦笑しつつカタギリは次の瞬間眼を見開いた。
「ライル君…そのあとは誰に…」
ライルはいつものように上は何も着ていなかったから、カタギリは余計混乱した。
カタギリが思いを寄せる海の魔女は人魚は、特に王族に名を連ねる者たちは、
基本人間でいうところのプラトニックに近いのだと聞いていたからだ。
なぜなら、彼らには性教育は施されず、一生かごの鳥のように過ごすのだからと聞いている。
伝承にならって足をもらった人魚は大抵そういった接触なく、穏やかに一生を終えるのだとも。
王族のうちで子を生すのは、「王」の役目で、「王」にならない限りそれらが知らされることはなく、
それを知っている王族以外の人魚たちは頑なにそのことを王族に語ろうとはしない。
「んー?なんか、お隣さんにつけられたんだと」
「グラハムにかい?」
「反対の方のだよ」
「……他に何かされなかったかい?」
なんだか目が笑っていないカタギリに、ライルは首をかしげつつも刹那にされたことをそのまま話した。
(正確にいえば話しているのはニールだ。何故ならば、ニールにだけはライルの「言葉」が聞こえるからだった)
カタギリは真っ赤になったり真っ青になったりと忙しく、よくわかっていないニールもライルも
なんで、そんなに百面相しているんだろうと疑問に思いつつ様子を見守っていた。
「腰、痛くないかい?」
「少し…か?」
「はー…もっと早くに教えておくべきだったよ」
ため息をつきつつカタギリは持ってきたプロジェクターを設置してリモコンのスイッチを入れた。
「念のために持ってきてよかった」
「なんだそれ」
「中高生用性教育の教材。人間用のね」
「性…」
ニールがつぶやくと、カタギリは再生ボタンを押す。聞こえてくる単語にいちいち質問してくる
双子に意味を教えながらなんとか見終わったころには二人とも真っ赤になってのぼせていた。
耐性がないのも考え物だ。ということは、これよりえげつないともいえるAVなんかをみせたりしたら
もっと大変なことになってしまうだろう。まぁ、先に彼らに見せるべきはゲイもののAVかもしれないが。
「ら、ライルぅ」
『兄さん、俺…』
「あとで、お隣さんに理由説明しような…」
『…うん』
すっかり、半べそ状態の二人に、隣人の説明は僕からするよとカタギリが申し出て、
(というか、この状態のライルが行ってもまた食われるだけと判断したのだろうが)
ひとまず、双子の緊急保健体育の授業は幕を閉じた。