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パラレルしか書いてません。口調・呼称が怪しいのは書き手の理解力不足です。ディランディが右。お相手はいろいろ(の予定)
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刹那は病院の医師から薬を受け取りながらはぁ、と小さくため息を吐いた。
結局退院までライルは一度も見舞には来ず、日替わりでカタギリとグラハムがきて入院とは別の精神疲労をおってしまった。
カタギリはライルの様子を教えてくれるだけなので、まだいいが、グラハムはなんだかただ騒ぎに来ているだけのようだった。
一日だけ大人しかったが。1週間で退院できるはずか2週間もかかってしまったのは、
ほぼグラハムのせいで刹那の気分が悪くなり、検査できる状況じゃなくなってしまったからだった。

「刹那君」
「カタギリ…」
「迎えに来たよ、家まで送るから」
「すまない」

カタギリの車の助手席に乗り込み、動き出すと同時に窓の外の風景を見た。
事故を起こした業者は、今警察と一緒に事件の起きた原因を究明しているとニュースが伝えていた。
マンホールのふたは本気で謎のままらしいのだが。都内で突如起きたすべてのマンホールのふたが
ずれる事件は怪奇現象の一種のように語られている。何故ならば、しばらくして勝手に戻っていったからだ。
一部始終を監視カメラが目撃していたため、先日から数回おこっている「そらからおたまじゃくし」事件
と同様の扱いを受けているようだった。

「ライルはまだ引きこもったままなのか?」
「うん…まぁ」

窓の方を向いたまま刹那がカタギリに話しかけると、カタギリは歯切れの悪い返事をした。
刹那が入院してライルが外に出たのは二度だけで、殆ど浴室にいる兄のもとを離れはしなかった。
(まぁ、刹那もグラハムもニールが一緒に住んでいるというのは知らないし、普段から彼ら兄弟が
浴室に引きこもっていることも知らない)
その二度も、最上階の水槽にいたのと、コンビニに出かけてグラハムの家を訪ねてきただけだ。
出かけるというほどではなく、そもそも出社していない。
カタギリの元に最近かかってきた電話で、一番多かったのはオフィス街のアイドルを最近見ないのだけど
という、かなり私的な電話だった。しかも大抵がお偉いさんだったもんだから、大丈夫かこの国
と一抹の不安を覚えたのだった。

「そうか…」
「なんか、かなり落ち込んでたよ」
「俺の怪我はあいつのせいじゃない」
「そうなんだけどね、(彼は人としての感情はまだ幼いから)」

カタギリは思ったことは口に出さず、刹那にドアの脇にあるクリアファイルを取るようにいった。

「…これは…水族館か?」
「うん、うちの福利厚生施設の一つなんだけど、社員限定でイルカと触れ合えるんだよ」
「それで?」
「ライル君もずっと引きこもってるし、いい加減引っ張り出さないといけないかなって思ってね」
「まるで、引きこもりに対するリハビリだな」
「あははは」

刹那の退院祝いだと言えば、ライルもいやだとは言えないだろうとニールが言っていたから
カタギリは強引にでもことを進めた。ニールもライルの元気がないことを気に病んで、
堂々巡りのようになっていたからなおさらだった。

「明日の9時にマンションのエントランスの植木の前で待っててくれるかな」
「了解した」
「……(こっちもだいぶ不器用だなぁ…)」

カタギリは苦笑しながらついでにグラハムを拾うために、右に曲がった。
曲がった先に待っていたグラハムの格好に頭痛を覚えたのは何も刹那とカタギリだけではなかった。
季節外れの浮かれ野郎に頭痛を覚える人もいれば、物珍しそうに写メを撮る人間までいる。
グラハムの格好は春先には無縁のはずの…

「(なんで、アロハシャツなんだ…)」

だった。(しかも麦わら帽子にサンダル、浮き輪オプション付き)

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