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パラレルしか書いてません。口調・呼称が怪しいのは書き手の理解力不足です。ディランディが右。お相手はいろいろ(の予定)
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翌日、何が悲しくて男だらけでデートスポットに来ているんだという集団は、勿論目立ちまくっていた。
もちろん一番目立っていたのはグラハムだったが、美形の集団が男ばっかりでこんな場所にいるという
のも目立つ原因になっていた。

「水族館とは懐かしいな」
「ここは、僕がクジョウと初めて出会った場所なんだよ」

刹那とグラハムは誰もそんな馴れ初め聞いてないという顔をしたが、ライルだけはきょとんと首をかしげていた。

「はぐれるといけない、ライル」
『ん』

刹那は何時ものようにライルの手を引くと、てくてくと歩き出す。グラハムはその後ろをカタギリと歩きながら、
何時もこうなのかと聞いた。カタギリが大体はと答えると、ほうと意味ありげな視線を向けるが、
二人は気づいていなかった。

『刹那!うみうし!』
「何故そこからなんだ…」

水族館の入り口近くにあるふれあいコーナーにいる磯の生き物のところに真っ先に向かったライルに
刹那は思わず突っ込んだ。普通もっと別のサメだとかカメとかから見るだろうと。
今日は平日のためか子供の姿はほとんどなく、確かにそこが一番空いている水槽ではあったのだが。
しかし、いい大人がずっとそこにへばりついているのも人目に悪いので、刹那はそうそうにその水槽から
ライルをつれて移動する。

「ライル、カメだ」
『んー?』

ライルが、そちらを向けば、水槽越しにカメが手を振っている。珍しい仕草だと他の客は喜びながら
ホームビデオや写真に収めていた。

【殿下だ!】
【まぁ、殿下。いつこちらに?】
『ちょっと前からな』

ライルが、ぺたりと水槽に手をつけるとカメがギリギリまで泳いできてくるくるとダンスを始めた。
それを筆頭にエイや熱帯魚達がまるで竜宮城の歓迎の舞のように踊り出す。
これには館内を案内していた従業員も驚いて固まっていた。

「ライルは随分魚に懐かれているのだな」
「だね、これは凄いな」
「そうだな」

三人は、笑うライルを見守りつつ、魚たちのダンスを観賞することにしたらしい。
ライルが移動すると大抵の魚も移動するので、居場所はすぐにわかるので、刹那ももう手は離していた。

【殿下ぁー、今日はニール殿下はご一緒じゃないんですか?】
【そういえば、珍しいですね、殿下が御兄弟といらっしゃらないのも】
『ニールはちょっとお留守番なんだ』
【それは、残念ですね】
『うん…』

ライルはニールも一緒に来れればどんなにいいだろうとへこみつつも、彼らが元いたあたりに泳いで行くのを
見送った。ここで一旦水槽が途切れ、別の水槽になるため、これ以上は彼らは進めないのだ。
この水族館にいる魚たちはどうやら大抵がライルとニールのことを知っているようだった。
別の水槽に移動すれば、そこには小さめの熱帯魚がイソギンチャクとともに展示されていて、やはりライルの
姿をみて嬉しそうに寄ってくる。

【殿下、見てください!春に生まれた私の子供なんです。ほら、殿下にご挨拶して】
【こっ、こんにちわ!】
『こんにちわ』

ライルがほほ笑みかければ、まるで恥ずかしがるようにクマノミの子供は父親の後ろに隠れてしまった。

「まるで、ロイヤルスマイルのようだ」
「(なんで、こんなにいい勘してるかなぁ…)」
「もう、ライルまで展示物みたいになっているな」

ライルの行く場所行く場所魚が踊ったりなんかしらのリアクションを取るため、客はライルの後ろから写真を
撮ったりしている。寧ろライルの写真ばっかり撮っているものもいたが、それは流石に刹那とカタギリが
注意をしに行った。しかも、刹那のはどう考えても脅しだった。
しばらく一人で進んでいたライルだったが、何を思ったのかカタギリの前で手をパタパタ動かして何かを
訴えている。

「ん、あぁ、ここは水族館の一部が外海と繋がってるからじゃないのかい?」

どうやら、自分を知っている魚が多いと言っていたらしい。それを理解できたのは正体を知っている
カタギリだけで、刹那とグラハムはどういう意味なのかと首をかしげた。
二人がカタギリに聞いてもはぐらかされるのはわかっているし、きっとライルはわからないという
ことが理解できないだろうから、二人は聞くのをあきらめる。
そこに、館内放送がかかり、まもなくイルカショーが始まると告げた。いい席を取ろうと館内にいる客は
みな館外の特設水槽に移動していく。

「ライル、行くか?」
『?』
「イルカがいるそうだ」
「いや、ね、グラハムそうじゃなくて」
「イルカショーだろう?何が違うというのだ」

今一歩状況が把握できてないライルの手を引いて三人は外に出た。出たら出たで一番最初に眼に入る
位地にあるペンギンの水槽が騒がしくなり、まるでそれだけで簡易なショーみたいになる。
そんなペンギンに手を振るライルに、やっぱり三十路前に見えないと刹那は思いつつ
これまた三十路を過ぎたのに大人げないグラハムにライルを任せてカタギリの横に並んだ。

「少しは元気になったようだな」
「そうだね、あとひと押しかな」
「まだ何かあるのか」
「一応ショーが終わった後イルカに触れるように言ってあるよ」

そうかと刹那は呟き、すでに席についている二人の元へと向かった。

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